国産の原付二種スクーターを一通り見たあと、台湾メーカーのスクーターも気になってきた。
きっかけは、SYMやKYMCOのスクーターが検索に出てきたことだった。
最初は、原付二種ならホンダ、ヤマハ、スズキを見ておけば十分だと思っていた。実際、国産スクーターは情報も多いし、販売店も多い。中古で探すにしても、新車で買うにしても、かなり分かりやすい。
ただ、SYMやKYMCOを少し見ていくと、これはこれでかなり面白い。
価格は国産よりかなり安い。デザインも国産スクーターとは少し違う。人と被りにくいし、見た目にクセがあって、けっこうかっこいい。

しかも、ただ安いだけではなさそうだ。
メーカーの背景を見ると、Hondaとの技術的なつながりがあり、台湾のスクーター文化の中で長く育ってきたメーカーでもある。さらに、モデルによっては加速感やキビキビした走りも評価されている。
一方で、販売店や修理対応は国産ほど強くない。買ったあとの整備環境は、先に確認しておいた方がいい。
この記事では、まず台湾メーカーのSYMとKYMCOがどういうメーカーなのかを整理する。車種ごとの細かい比較は、次の記事で扱う。
SYMとKYMCOは、ただの謎メーカーではない
台湾スクーターと聞くと、最初は少し身構えるかもしれない。
ホンダ、ヤマハ、スズキなら名前だけでだいたい分かる。けれど、SYMやKYMCOは日本ではそこまで馴染みがない。
ただ、調べてみると、どちらも急に出てきた安いだけのメーカーではなかった。

SYMは、台湾のSanyang Motor(三陽工業)のブランドだ。Sanyang Motorは1954年設立で、初期にHonda Japanと協力関係があったメーカーとして紹介されている。

KYMCOも台湾のメーカーで、Honda Japanからの技術移転を背景に始まったメーカーとして紹介されている。
ここはけっこう大きい。
つまり、SYMもKYMCOも、完全に独自で突然スクーターを作り始めたメーカーというより、Hondaとの技術的なつながりを出発点に持っているメーカーだ。
もちろん今はそれぞれ独自のメーカーとして展開しているが、少なくとも技術の出どころがまったく見えないメーカーではない。
原付二種スクーターを選ぶときに、「どこのメーカーかよく分からない」という不安はかなり大きい。けれど、SYMやKYMCOには、Hondaとの協力関係や技術移転の歴史がある。そこは、信頼感につながる部分だと思う。
台湾メーカーだから怪しい、と雑に切るのは違う。
むしろ、Honda由来の技術的な背景を持ちながら、台湾のスクーター文化の中で独自に成長してきたメーカーとして見た方が自然だと思う。
どちらもスクーターを主力にしているメーカー
SYMとKYMCOを見ていて面白いのは、どちらもスクーターを主力にしていることだ。


その背景には、台湾のスクーター文化がある。
台湾では、スクーターが日常の移動手段として深く根付いている。通勤、買い物、ちょっとした移動など、生活の中でスクーターがかなり普通に使われている。
だから、台湾のメーカーであるSYMやKYMCOがスクーターを中心に展開しているのは自然な流れだ。

実際、どちらも125ccクラスだけでなく、もう少し大きい排気量のスクーターも展開している。原付二種のような日常用スクーターだけでなく、250cc以上のスクーターも作っている。
KYMCOはさらに、スクーターだけでなく、ATVという四輪バギーのような車両も作っている。
つまり、SYMやKYMCOは「安い小型スクーターだけを作っているメーカー」ではない。
台湾のスクーター文化の中で、日常用から大きめのスクーターまで作ってきたメーカーだ。
だから台湾スクーターを見るときは、単に「国産ではない安いスクーター」として見るより、スクーターが生活に根付いた国で育ってきたメーカーの車両として見た方が分かりやすい。
国産よりかなり安くて、装備も悪くない
台湾スクーターを見てまず気になった強みは、価格だ。
国産の原付二種スクーターは、全体的にかなり高くなっている。PCXはもう安いスクーターという感じではないし、リード125も実用車としてはしっかりした価格になっている。
そのあとにSYMやKYMCOを見ると、価格の安さがかなり目立つ。
国産同クラスよりかなり安く見えるモデルがあり、しかも安いからといって、見た目や装備が雑に見えるわけでもない。むしろ、価格を考えるとけっこう頑張っているように見える。
LEDライト、液晶メーター、スマートキー系の装備、USB電源、ABSなど、モデルによっては国産スクーターと比べても見劣りしにくい装備が入っている。
ここはかなり大きい。
ただ安いだけなら、少し不安になる。けれど、価格が安くて、装備もちゃんとしていて、メーカーの背景もある程度見えるなら、話は変わってくる。
台湾スクーターは「安いけどよく分からないもの」ではなく、「価格の割に装備が濃い選択肢」として見えてくる。
デザインが国産と違って面白い
もうひとつ気になったのが、デザインだ。
国産スクーターは完成度が高い。PCXは王道感があるし、リード125は実用的にまとまっている。Dio110やアドレス系も、日常で使いやすい形にきれいに収まっている。
ただ、見慣れているぶん、少し普通に感じることもある。
台湾スクーターは、そこが少し違う。
ライトの形、フロント周り、全体のライン、色の使い方。国産スクーターとは雰囲気が違って、少しクセがある。人と被りにくいし、個人的にはここがかなり気に入った。
ただ安いだけなら、そこまで気にならなかったと思う。


でも、価格がかなり安くて、見た目も面白い。さらに、メーカーの背景もまったく不明というわけではない。
そうなると、台湾スクーターは「安いから妥協して選ぶもの」ではなく、「価格とデザインであえて選ぶもの」に見えてくる。
これは国産スクーターにはない軸だと思う。
走りも意外と期待できそう
台湾スクーターでさらに気になったのが、走りだ。
最初は、安い海外スクーターというと、なんとなく「走りは普通で、価格勝負なのかな」と思っていた。
でも調べてみると、SYMのスポーツ系125ccスクーターには、加速感やキビキビした走りを評価されているモデルがある。KYMCOにも、ダッシュ力や街中での速さを評価されている125ccモデルがある。
つまり、台湾スクーターは「安いけど走りはそれなり」というだけではなさそうだ。
もちろん、これは車種ごとに見る必要がある。全部の台湾スクーターがスポーティーという話ではない。
ただ、少なくとも一部のモデルは、価格だけでなく走りの個性も魅力になっている。
安い。
デザインが面白い。
装備も悪くない。
走りも期待できるモデルがある。
ここまで揃うと、台湾スクーターはかなり面白く見えてくる。
国産スクーターの安心感とは違う方向で、ちゃんと選ぶ理由がある。
弱点は、販売店と修理環境
ただし、台湾スクーターには分かりやすい弱点もある。
販売店と修理環境だ。
ホンダやヤマハなら、扱える店はかなり多い。街のバイク屋でも見てもらいやすいし、部品情報や整備情報もネット上に多い。
台湾メーカーは、ここが国産ほど強くない。
オイル、タイヤ、バッテリーのような汎用品なら、基本的には困らないと思う。問題になりやすいのは、外装、電装系、メーター、スイッチ類、駆動系の専用品など、その車種ごとの純正部品が必要になる場合だ。
部品を取り寄せられるのか。
修理に対応してくれる店が近くにあるのか。
そもそも店に持ち込んだときに見てもらえるのか。
ここは国産スクーターより気にした方がいい。
車体価格が安くても、壊れたときに近くで修理できなければ使いにくい。特に通勤や日常の足として使うなら、トラブル時に対応してくれる店があるかはかなり大きい。
逆に言えば、近くにSYMやKYMCOを扱っている販売店があって、修理や部品取り寄せも相談できるなら、台湾スクーターはかなり現実的な候補になる。
「安いから妥協」ではなく「あえて選ぶ」選択肢として
SYMやKYMCOは、国産スクーターの下位互換として見るものではないと思う。
国産スクーターは、安心感、情報量、販売店の多さが強い。
一方で、台湾スクーターには、価格の安さ、デザインの面白さ、装備の充実感、人と被りにくい個性がある。さらに、モデルによっては加速感やキビキビした走りも魅力になる。
国産よりかなり安い。
デザインが面白い。
装備も悪くない。
走りも期待できる。
人と被りにくい。
こう並べてみると、台湾スクーターは「安いから仕方なく選ぶもの」ではなく、「安さ・デザイン・装備・走りであえて選ぶもの」に見えてくる。
もちろん、販売店と修理環境の確認は必要だ。特に、近くに扱える店があるか、純正部品の取り寄せや修理を頼めるかは先に見ておきたい。
ただ、そこさえクリアできるなら、SYMやKYMCOは原付二種選びの中でかなり面白い候補になる。

次の記事では、実際にSYMとKYMCOの125ccスクーターを具体的に見ていく。
参考リンク:公式サイト
SYM
KYMCO

