原付二種で配達に使うバイクを考える中で、これまで国産新車、中古スクーター、台湾メーカーの125ccスクーターまで見てきた。
PCXやリード125のような現行スクーターも見たし、SYMやKYMCOのような台湾メーカーも思っていた以上に面白かった。
ただ、配達用として考えるなら、最後に見ておきたい本命枠がある。
業務用・実用車系のバイクだ。
いろいろ見ていくと、このカテゴリは思ったより分かりやすかった。
ミッション系なら、スーパーカブ110。

ガソリン業務用スクーターなら、ベンリィ110。

まず軸になるのは、スーパーカブ110とベンリィ110だ。
そこに、もう1台加えておきたい候補がある。
クロスカブ110だ。

クロスカブ110は、業務用バイクそのものではない。
でも、スーパーカブ系の実用性をベースにしつつ、見た目や街乗りのしやすさまで含めると、かなり気になる存在だった。
今回は、スーパーカブ110とベンリィ110の業務用・実用車系二強にクロスカブ110も含めて見ていく。
厳密に言えば、業務用・実用車系の候補は他にもある。
ただ、自分が重視した「配達に使えるか」「普段使いにも残せるか」を見るなら、この3台で十分整理できると思った。
業務用・実用車を見るときに重視したこと
業務用・実用車を見るとき、実用面の強さはある程度分かっている。
荷物を積みやすい。
燃費も良い。
仕事で使われてきた実績もある。
配達に使う道具として見れば、かなり合理的な車種が多い。
ただ、自分が見たかったのは、そこだけではなかった。
仕事用として割り切って使うなら、便利さだけで選んでもいいと思う。
荷物が積めて、燃費がよくて、配達に使いやすい。
それだけで十分な人もいる。
でも、自分の場合は、休みの日や普段の移動でも普通に乗れるバイクを選びたかった。
配達を辞めたとしても、買い物やちょっとした移動に使えるもの。

屋根付き三輪の配達特化車、ジャイロキャノピーで休みの日にスーパーへ行く自分を想像すると、どうしても「いま配達中です」感が出る。
できれば、仕事道具としてだけでなく、好きで乗れるバイクがいい。
そこを重視した。
なので今回は、業務用・実用車としての強さだけでなく、普段使いしても嫌にならないか、仕事道具感が強すぎないかも見ていく。
3台のざっくり紹介
| 車種 | 一言でいうと |
|---|---|
| スーパーカブ110 | ミッション系の業務用・実用車最強枠 |
| ベンリィ110 | ガソリン業務用スクーターの最強枠。ただし生産終了で中古前提 |
| クロスカブ110 | カブの実用性に、趣味性と見た目の良さを足したモデル |
ホンダ スーパーカブ110:ミッション系の業務用最強枠。燃費が別格

まず外せないのは、スーパーカブ110だ。
新聞配達や仕事の足として長く使われてきた、ミッション系の業務用・実用車最強枠。
そう言っていいと思う。
| 項目 | スーパーカブ110 |
|---|---|
| 排気量 | 109cc |
| 最高出力 | 8.0PS |
| WMTCモード燃費 | 67.9km/L |
| 燃料タンク容量 | 4.1L |
| 車両重量 | 101kg |
| シート下収納 | なし |
| 積載の見方 | リアキャリアに箱やバッグを追加して使うタイプ |
| 新車/中古の見方 | 新車・中古どちらも候補 |
スーパーカブ110には、いろいろな強みがある。
その中でも特に目立つのが燃費だ。
燃費は原付二種クラスでも別格

現行のスーパーカブ110はWMTCモード値で67.9km/L。タンク容量4.1Lなので、満タンで約278km走れる計算になる。
分かりやすい比較として、現行プリウスのWLTCモード燃費は28〜32km/L台。車とバイクで単純比較はできないが、ハイブリッド車の代表格の倍以上の燃費を、昔から続く素朴な実用バイクが出している。
配達で使うなら燃料代は利益に直結する。この燃費の強さは、地味だけどかなり効いてくる。
箱を載せても収まりがいい
積載面では、スクーターのようなシート下収納はない。
ここは分かりやすい違いだ。
ただ、スーパーカブ110には最初から大きめのリアキャリアがある。
ここにリアボックスを載せたり、サイドバッグを付けたりすることができる。

しかも、箱を載せたときの収まりがいい。
普通の原付やスクーターにリアボックスを付けると、どうしても「後から無理に箱を追加しました」感が出ることがある。
でも、スーパーカブはもともと荷物を載せることが想定されたデザインなので、箱を付けても不自然に見えにくい。
配達に使うなら、この自由度と収まりの良さはかなり大事だ。
最初から大容量の収納が用意されているというより、リアキャリアを土台にして、必要な箱やバッグを組み合わせていく。
このあたりは、シート下に収納があるスクーターとは性格が違う。
カスタムパーツが豊富で、配達後も普段使いに残せる
さらに、スーパーカブはカスタムパーツがかなり多い。
というより、バイク界でもトップクラスにカスタムパーツが豊富な車種だ。
マフラー、シート、ベトナムキャリア、ウインドシールド。

カブ専門店や、カブ向けパーツを中心に扱う店があるくらいなので、ただ汎用品を無理やり付けるというより、「カブ用」として選べるものが多い。
ここはかなり大きい。
配達に使うなら、まずはリアボックスやバッグを付けて実用寄りにする。
その後、普段使いとして乗り続けるなら、シートや外装、マフラーなどを変えて、自分の好みに寄せることもできる。
最初は仕事用として使い、あとから生活の足や趣味のバイクとして育てていける。

スーパーカブ110は、買ったあとに使い方を変えやすいバイクだと思う。
ホンダ ベンリィ110:ガソリン業務用スクーターの最強枠だった

荷物を積む前提で作られた業務用スクーター
ベンリィ110は、荷物を運ぶために作られた業務用スクーターだ。
大きなリアデッキがあり、シート下に収納はない。その代わり後ろに大きな箱を載せて使う。
このバイクもスーパーカブ同様のわかりやすい設計だ。

| 項目 | ベンリィ110 |
|---|---|
| 排気量 | 107cc |
| 最高出力 | 7.9PS |
| WMTCモード燃費 | 50.3km/L |
| 燃料タンク容量 | 10L |
| 車両重量 | 117kg |
| シート下収納 | なし |
| 積載の見方 | 大型リアデッキに箱を載せて使うタイプ |
| 新車/中古の見方 | ガソリン車は生産終了。基本は中古候補 |
10Lタンクで航続距離が強い
ベンリィ110で特に目立つのは、燃料タンク容量の大きさだ。
10Lも入るので、給油する頻度をかなり減らせる。
燃費は、スーパーカブ110ほど別格というわけではないが、約50km/L走るなら十分だし、タンク容量が大きいので航続距離が強い。
カタログ燃費ベースで計算すると、満タンでなんと約500kmも走れることになる。
500kmというと、ざっくり東京から大阪まで行けるくらいの距離だ。

もちろん実際の配達では、信号待ちや発進停止が多いので、そのまま500km走れるとは限らない。
それでも、業務用スクーターのベンリィ110が、満タンで東京〜大阪くらい走れる計算になるのはかなりすごい。
燃費のスーパーカブ、タンク容量のベンリィ。
こう見ると、2台の違いがかなり分かりやすい。
丸目ライトに意外と愛嬌がある
見た目については、最初はかなり仕事道具っぽく見えたが、見ているうちに少し印象が変わってきた。
ベンリィ110は、丸いライトが、フロントの真ん中にちょこんと付いている感じで、最初は独特なデザインだな、くらいに思っていた。
でも、何度も見ていると、だんだん可愛く見えてくる。
いかにも業務用スクーターなのに、どこか愛嬌がある。
この感じは、けっこう嫌いじゃない。
最近のスクーターは、ライトも外装もシャープなデザインが多い。
その中で、ベンリィ110の丸目ライトはかなり印象に残る。
実は、ベンリィは、箱の付け方や色の合わせ方次第では、意外と普段使いにもいける。
たとえば、Sonic Craftyの「VESGRIDE-FLIP」のようなカスタム車を見ると、ベンリィ110の印象はかなり変わる。

ベースは業務用スクーターなのに、外装やライトまわり、色の組み合わせで、ここまで雰囲気を変えられるのかと思った。
仕事道具としてのベンリィ110とは別に、カスタムベースとしての面白さもある。
もちろん、ここまで仕上げるのは大変だと思う。
ただ、ベンリィ110は箱を載せて配達するだけの車種ではなく、カスタム次第でおしゃれに街乗りも楽しめるスクーターでもある。
新車で買えず、中古でも安くない
ただ、そのベンリィ110はすでに生産終了している。しかも中古でもあまり安くない。

配達用として見れば、ガソリン業務用スクーターはニーズが高いジャンルだ。
荷物を積みやすく、タンクも大きく、街中を長く走る仕事に向いている。
なのに、排ガス規制や電動化の流れで生産終了していた。
ガソリン業務用スクーターの本命なのに、分かりやすい後継車もない。
だからこそ中古でも値が残っていて、「安く買える業務用スクーター」ではない、という状況のようだ。
ベンリィ110は、配達用として見るなら今でも人気のある車種だった。
新車で買うことができなくなった、ガソリン業務用スクーターの最強枠だと思うので、価値も落ちにくいと思う。
状態の良い個体をちゃんと探す車種として見た方がよさそうだ。
ホンダ クロスカブ110:趣味性まで見るならかなり魅力的

クロスカブ110は、スーパーカブ110の実用性をベースに、見た目と趣味性を足したモデルだ。
レッグシールドがなく、車体がスッキリして見える。
ストリート、アウトドア寄りのデザインで、街乗りにも休日の移動にも合う雰囲気がある。
配達専用というより、普段から好きで乗れるカブとして見たい人には、かなり魅力的な選択肢だと思う。

ただし、その分スーパーカブ110より価格は高い。
ここは先に書いておく。
また、クロスカブ110は業務用バイクそのものではない。
ただ、スーパーカブ110をベースにしたカブ系のモデルで、エンジンや燃費、積載の考え方もほとんど同じだ。
それに、今回の記事では配達だけでなく、普段使いしても嫌にならないか、街乗りでも乗りたいと思えるかも見ている。
そう考えると、クロスカブ110を候補から外す理由はない。
なお、カブ系でいえば、スーパーカブC125やCT125・ハンターカブも気になる存在だ。
ただ、スーパーカブC125はスーパーカブ系の最上位モデルで、価格もぐっと高くなる。
CT125・ハンターカブは、クロスカブ110よりさらにアウトドアやツーリング寄りの性格が強い。今回は、配達にも使えて普段使いにも残しやすい実用車として見るため、候補はクロスカブ110に絞った。
基本性能は大きく変わらない。違いはキャラクターだ
「スーパーカブ110と何が違うの?」が知りたいところだと思うので、単独スペック表に、スーパーカブ110のスペック、差分を追加した。
| 項目 | クロスカブ110 | スーパーカブ110 | 違い |
|---|---|---|---|
| 価格 | 412,500円 | 352,000円 | クロスカブが約6万円高い |
| 全長×全幅×全高 | 1,935×795×1,110mm | 1,860×705×1,040mm | クロスカブの方が一回り大きい |
| シート高 | 784mm | 738mm | クロスカブの方が46mm高い |
| 車両重量 | 107kg | 101kg | クロスカブの方が6kg重い |
| 最低地上高 | 163mm | 138mm | クロスカブの方が25mm高い |
| 最小回転半径 | 2.0m | 1.9m | スーパーカブの方が少し小回りしやすい |
| WMTC燃費 | 67.9km/L | 67.9km/L | 同じ |
| 燃料タンク容量 | 4.1L | 4.1L | 同じ |
| 最高出力 | 5.9kW[8.0PS]/7,500rpm | 5.9kW[8.0PS]/7,500rpm | 同じ |
| 最大トルク | 8.8N・m[0.90kgf・m]/5,500rpm | 8.8N・m[0.90kgf・m]/5,500rpm | 同じ |
| 前タイヤ | 80/90-17M/C 44P | 70/90-17M/C 38P | クロスカブの方が太い |
| 後タイヤ | 80/90-17M/C 44P | 80/90-17M/C 50P | サイズは同じだが、荷重指数が違う |
クロスカブ110のエンジン、燃費、燃料タンク容量はスーパーカブ110と同じ。
2台の差は、性能差というよりキャラクター差として整理した方がいい。
クロスカブ110は車体が少し大きく、少し重く、シート高も高い。
前タイヤが少し太く、最低地上高も高めで、
一言でまとめると、スーパーカブ110に比べて乗り味が少しゆったりした感じになるだろう。
未舗装路やアウトドア用途まで考えるなら、この違いはかなり意味があると思う。
ただ、舗装路の街中配達で使うなら、そこまで大きく気にする差ではない。
スーパーカブ110より明確に有利になる差というより、クロスカブらしいキャラクターの違いとして見た方がいい。
見た目の違いはかなり大きい
一番分かりやすい違いは、レッグシールドの有無だ。
スーパーカブ110の大型レッグシールドは実用車感が強く、見た目をかなり左右する。
クロスカブ110はそれがない分、車体がスッキリして見えて、仕事道具よりも街乗りやアウトドア寄りの雰囲気になる。
同じカブ系でも、並べると印象がぜんぜん違う。


シート高やサイズの差は、配達候補から外すほどの決定的な差ではない。
ただ、実際にまたがってみると体感は変わるので、試乗か現車確認はしておきたいポイントだ。
カスタムもかなり楽しめる

クロスカブ110も、カスタムパーツはかなり多い。
クロスカブ110は、最初から少し趣味性があるぶん、カスタムしたときの方向性も作りやすいのではないか。
スーパーカブ同様に、配達用として使いながら、あとから街乗りやアウトドア寄りに育てていけるのはかなり魅力だ。
価格差を配達装備に回せる、という話
クロスカブ110はスーパーカブ110より約6万円高い。
配達用として見ると、この差は少し悩ましい。
リアボックス、スマホホルダー、レインウェア、防水バッグ、ヘルメット。
配達を始めるには、車体以外にもそれなりの出費がある。
6万円あれば、配達装備をかなり揃えられる。
配達の合理性だけで考えると、スーパーカブ110の方が現実的だ。
クロスカブ110はありか
配達専用で見れば、少し贅沢な選択肢になる。
燃費もタンク容量もスーパーカブ110と同じで、価格は高い。
ただ、見た目が好きで、街乗りや休日の移動でも乗りたいと思えるなら、クロスカブ110はかなり魅力的だ。
配達が終わっても手元に残したい一台になりやすい。
配達の合理性ならスーパーカブ110。
好きで乗れる実用車として考えるなら、クロスカブ110も魅力的な選択肢だ。
3台それぞれに、ちゃんと良さがあった
今回比較した3台は、同じ配達向きバイクでも、それぞれ性格がかなり違う。
スーパーカブ110:実用と普段使いのバランスが強い
燃費が別格で、今も新車で買える。中古も多い。リアボックスやサイドバッグも付けやすく、カスタムパーツも豊富だ。
配達専用としてベンリィ110ほど振り切ってはいない。
でも、配達に使えて、普段の移動や買い物にも使えて、配達が合わなくなっても手元に残しやすい。
1台で使い続ける前提なら、このバランスはかなり強い。
ベンリィ110:仕事道具として割り切るならかなり強い
ベンリィ110は、ガソリン業務用スクーターとしてかなり分かりやすい。
大型リアデッキがあり、10Lタンクもある。荷物を積みやすく、給油頻度も減らしやすい。
配達専用として見るならかなり強い。
ただし、生産終了で中古前提になる。状態の良い個体を探す車種として見る必要がある。
クロスカブ110:好きで乗れる実用車として魅力がある
クロスカブ110は、好きで乗れる実用車としてかなり魅力的だった。
業務用そのものではないが、スーパーカブ系の実用性をベースにしつつ、見た目や街乗りのしやすさがある。
価格はスーパーカブ110より高くなる。
ただ、仕事道具感が少なく、普段も好きで乗れるバイクとして考えるなら、クロスカブ110は普通にありだ。
何を重視するかで選び方が変わる
つまり、仕事道具として割り切るならベンリィ110。
実用と普段使いのバランスならスーパーカブ110。
好きで乗れる実用車まで見るならクロスカブ110。
この3台は、単純な上下関係というより、何を重視するかで選び方が変わる候補だった。
私が選んだのは、スーパーカブ110だった
ここまで、配達に使う原付二種バイクとして、国産新車スクーター、中古スクーター、台湾メーカーの125ccスクーター、そして業務用・実用車系まで見てきた。
そのうえで、最終的に自分が選んだのはスーパーカブ110だった。

理由はいくつかある。
- レッグシールドが付いた、昔ながらのカブらしい見た目が好きだった
- 燃費が良く、ガソリン代を気にしすぎず自転車みたいに気軽に使えそうだった
- リアボックスやサイドバッグを付けやすく、積載をあとから作っていける
- 新車でも中古でも探しやすく、カスタムパーツも多い
- 配達が合わなくても、買い物や近所の移動、趣味のバイクとして残せそうだった
配達用として考えていたはずなのに、最後はけっこう素直に「カブに乗ってみたい」という気持ちが残った。
燃費、積載、カスタム性、普段使いへの残しやすさ。
そのバランスを考えると、自分にはスーパーカブ110が一番現実的だった。
ただ、スーパーカブ110を選んだから終わりではない。
次は、型式や年式の違いを見ながら、自分がどのスーパーカブ110を選んだのかを整理していきたい。
※各車種の画像・仕様情報は、各メーカー公式サイトの情報を参考にしています。価格・仕様は年式や型式によって変わるため、購入前には最新情報をご確認ください。
